不思議の国のおばば
おばあちゃんと同居するようになってちょうど一年が過ぎた。
もうすぐ死ぬからもうどうでもいいのよ、というのを聞き続けること一年。
私の摂取カロリーの倍はいってるんじゃないかと思うくらいよく食べること一年。
寂しいからおしゃべりしましょうと言われ、実際会って話してても、しばらく会ってないわねと書かれ言われること一年。
私がひとりでいるのを見つけるたびに、まあ!大変!寂しいでしょ、と言われること一年。
出来のよろしい親戚の子の自慢を聞くこと一年。
何か意味を見出そうとか、おばあちゃんにかけた時間返せと願うとか、そんなことしてもしょうがない。
一周年を記念しておばあちゃんの大好物である揚げ物メニューを供した。カキフライと豆乳カニクリームコロッケ。
一周年を記念して、この一年に撮った写真をA4にプリントアウトして渡した。
海に行ったよね。北海道から弟たちが来て竹富島に行ったんだよね。夏には一週間那覇に行って過ごしたよね。誕生日にはホテルでディナーしたよね。東京にも行ったよね。娘とは小浜島に行ってハイムルブシの広いオーシャンビューの部屋に連泊したよね。孫が来たときには竹富に泊まったんだよね、etc。
何かしたとか行ったとかにも意味を見出してもしょうがないんだけど、写真見ても何一つ覚えていなかった。ハイムルブシなんぞ、2週間くらいパンフレット持ち歩いてて「よかったわー。あなたも行くといいわ」と宣伝カーになってたのに、もう消えていた。宣伝カーとしての役割も終わってた。
試しに30年前の写真を入れておいたら、そこにだけクリーンヒットで反応あり。出てくるエピソードはお決まりの2点だけだったけど。
あとは自分が写っている写真だっていう認識も薄い感じだった。よって話も全く弾まず・・・。空っぽの抜け殻人間だわ・・・。体力だけ残っちゃってるんだねえ。
ふぅ、あばらがいたい。
| 固定リンク
« ワルガキ | トップページ | シェパードな彼女 »
コメント