« おかえり銀ちゃん | トップページ | コザ »

2011年7月 6日 (水)

おばあちゃん、また会うその日まで

6/27、月曜日、ほとんどご飯も食べられなくなっていて水分もとれなくなっていたおばあちゃんが、むくんだ足からどんどんお水が出ていってしまっていてだいぶつらそうなので、病院に連れていき、とここまでは週に1、2回繰り返していたことだけど、ここにきてついに入院させることにした。なんとか二階から自分の足で下りてくることはできて、車にも乗り込むことができたけど、限界だったはず。入院先で早速リンゲル点滴するも、何度も引っこ抜いて血まみれに・・・。結局なにもしないことにした。翌日ハハが病院に行くと、入院してるという自覚はちゃんとあってどこにいるかは一応分かっていた。

29日、医療的な処置もなく、徘徊しちゃったり、裸になっちゃったりするのもあって、病院側から退院を推められる。終末期のケアができるとこではないんだね。夕方5時過ぎにハハと病院に行くと、おばあちゃんはベッドで仰向けになって虚ろな表情で天井に顔を向けつつ、指はせわしなくパジャマの紐を外そうとしていた。これまでだったら、少なくとも顔を見せれば「あら!」っていう反応があったけど、初めて完全に無反応だった。声をかけても届いてないしどこを見てるかも分からない。内なる世界というかどこか遠い世界に行っているようだった。ハハが起こしてゼリーを食べるか聞くとかすかにうなずいた。2口食べてもういいと首をふるけど、もう1口いこうというと口を開けた。同じ目線にいても虚ろな表情のまま。その後トイレを促すけど何も出ず、ベッドに移すといきなりバタンと倒れこんでまたパジャマを脱ぐことに集中し始めた。ハハが顔を拭いたり入れ歯をとって口腔ケアをしたりして、時間がなくなったので「じゃあ、また来るね」と病室を後にした。その後入れ違いにばあちゃん息子が病室に行き夕飯を食べさせた。

そして夜8時半頃に病院から電話がきて、おばあちゃんがあっけなく生を閉じたことを知った。家族がいても寂しい寂しいが口癖で、どんなに話しても足りない足りないと言われてたのに、最期はひとりきりでふっと消えちゃった。いけちゃうもんなんだねえ。

よぼよぼの老人をその歩き真似までして笑って、車いすともなると哀れみの対象として見て、自分は違うのよ!って言ってただけあって、亡くなる前日まで自分の足で歩いてたのはある意味あっぱれだわ。

葬儀場で寝かされてる姿はこれまでの寝姿と全く変わらず、むっくりといつものように直角に起き上がりそうだった。

7/1、お葬式を済ませた。台湾から叔母夫婦も来た。叔母は、おばあちゃんがなくなる一週間前に島に来て日曜に台湾に帰ったばかりだったから大忙し。まあ、いかにもその時が近そうではあったから驚くことではないけど、叔母はそうでもなかったらしくびっくりしていた。そしていつも通りお酒をたっぷり飲んでいた。6月なんてそれこそ毎日毎日、今日はどうだ、誕生日には命日にしないでね、と私たちは言い続けてたんだけど。

海の見える場所でおばあちゃんは灰になり、自分の部屋でいましばらくお墓に入るのを待ってます。

Dscf8735

生前、これまた口癖のように言っていた「おばあちゃんの持ってる宝石は孫三人で分けてね」という言葉。叔母が、祭壇設置後業者が帰ると、早速引き出しから出してきたので、後でエミコに「ついにその時がきたよ」っていうと、「あーあー、よく見せられてた。あれとあれと・・」とソラで言っていた。それくらいしょっちゅう見せられていたらしい。そもそもギラギラとつける人じゃなかったから、数なんて全然ないしね。ハハが30年以上前にプレゼントしたものもちゃんと残っていた。

Dsc09015

49日に集まるときにでもエミコとイトコとで形見分けしてもらえれば、おばあちゃんの願いどおりだ。とりあえずほぼ全部叔母が持っていったので、あとは任せよう。

同居生活は1年と3ヶ月で終了です。代わりに死んで、みたいなことを言われたこともあったけど、そうはさせまいと私もがんばった。結局何もしたくないという言葉通りに、何を勧めても何もしなかったけど、去年まだ今思えばマシだった頃におばあちゃんが詠んだ短歌がこれ。全部でこれだけ。

T1


Dscf8742

ところでおばあちゃんが少し前に「私が結婚したのはヨシダさん」と言っていたけど、ヨシダさんって誰だー!ちょっと気になった。

ちゃんとおじいちゃんのとこに行ってね。

|

« おかえり銀ちゃん | トップページ | コザ »

コメント

ここまで書いたのはよほどのエネルギーがいったはず。記録するのって力が要る。読み応えありました。おばあちゃんのかわいさがあふれてた。ヨシダさんじゃなくて、おじいちゃんの横にちょこっと座ってそう。

投稿: ノリヲ | 2011年7月 7日 (木) 13時57分

ヨシダさん(笑)
私、おじいちゃんのことは好きだったから、一応そっちに行って欲しくはあるけどね。まあもうお好きにってとこよね。

石垣に来たときに離れちゃうことに罪悪感っぽいものを感じてたから、同居前も電話したり手紙送ったりお花送ったりってのもずっとやってきた分、もうそうしなくていいんだと思うと不思議な気分だよ。全然使ってもらえなかったケータイも、解約してこないとねー。

投稿: さくらンボー | 2011年7月 7日 (木) 19時25分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: おばあちゃん、また会うその日まで:

« おかえり銀ちゃん | トップページ | コザ »