マネーは踊らない
以下つれづれに書きなぐり。
「手っ取り早く中くらいのお金持ちになる方法ってない?」
その日私が読んでいた本は、The moneyless man(『ぼくはお金を使わずに生きることにした』)だった。アイルランド出身の私と同世代のあんちゃんがブリストル近郊で一年間全くお金を使わずに暮らすという実験を綴ったもの。
「生憎だけど今日読んでたのはそんなんだから、手っ取り早くだとか中くらいの金持ちだとか自体が成立しないんだわ。」
「ヒマなんだから、メイクマネーのハウツー本を片っ端から読みまくって、その共通点とかポイントをまとめて教えてよ。うまくいけば、それで本出せたり、講演でがっぽり稼げるかもよ。」
「うん、ヒマ。あばら骨をきれいな立体に作り直してくれたらメイクマネーの方法論考えてあげる。」
「そんな金ない。かわりに死んだら標本にして母校に寄贈してあげるからさ。きゃっ、学校の怪談の主役ねっ。」
以降のメール省略。(このブログをメール相手が見てないという前提でパブリックにしちゃったけど、いいにする。)
経済がうまく回らない、年金が崩壊する、そんなニュースを目にすると、そもそもお金というそれ自体は何も価値がないものを信用している経済が欠陥があるからじゃないかと思う。貨幣そのものは合理的な存在だけど、そこに未来からの時間を組み込んだ時点でいつしか崩壊してしまうのだと思う。お金といっても貨幣よりもどんどん複雑なものになり、今や電子マネーというそれこそ質量一切ない数字が信用されるものとなってるんだから、こりゃすごい。そんなマネーを使って、化石燃料を大量に使うことが前提で、地域ごとに産出し消費できる分量を無視して、地球全体でものを動かし、エネルギーを浪費していくことがいつまでも持続できるとは思えない。
自分の手でエネルギーも産まず、食物も育てず、調理もせず、貨幣で交換したご馳走をたらふく食べた上でカロリーの取り過ぎだわ、太っちゃうって言う人は、ボイルくんの採集生活を一年やってみればいいはず。
ダイアナ・ガバルドンのアウトランダーシリーズ、16巻まで読み終えた。何年も前に原作を読んだものの、しょっちゅうベッドシーンが出てきて飽きてDragonfly in amberでとまっていた。去年N子さんが日本語版を持っていると知って、もう一回読んでみるかとおねだりして貸していただき、単なるロマンス小説じゃなくてもっと濃厚な時代小説と気づいてゆっくり読み進めていった。ジャコバイト、パリ生活、アメリカへの移民、独立戦争へ。200年以上前の医療事情、経済、自然、文化も余すとこなく出てくる。このシリーズ、まだ続いているからおいおい読んで行こう。
アメリカを舞台に、といえばこんなのも読んだ。『メインの森をめざして』。アパラチアン・トレイルをスルーハイクした記録。
200年以上前の生活には戻りたくないけど、今のマネー資本主義に踊らされている時代も、なんだかね。
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