青森姉捨て山紀行5
恐山で思いの外長居をしてしまった私たち。本日中に青森市内に帰りつけるか??
再び薬研温泉の方へと戻り、そこから今度は大間に向かう道を選ぶ。ナビが出してきたのはいったん太平洋側に出て海沿いを走る道。地図を見ると、半島の中を走る道があるじゃないか。ルート検索してそちらを選ぶと、「エコ」と出た。距離的な意味でエコなんだろうか、まあよくある似非エコだろうなと思いつつその道を行く事にした。
薬研温泉のとこで私はシートを倒して空を仰ぎ見る。この姿勢だと景色はほとんど見えなくて、真昼間の太陽に顔面丸焼けになるんだけど、山道を行くなら木々が日光を遮ってくれるだろうし、カーブでいちいち踏ん張るにも限界がある。奥薬研を過ぎたところで道路工事をしている人に「この先砂利道だよ」と言われる。ちょっぴり進んでまた道路工事の人に「どこまで行くの?大間?佐井ね。ずっと砂利道だよ」と言われる。
ちょっくら地図をば。
↑恐山と薬研温泉ここ。
↑クリックで拡大。青い線が未舗装の道路、23キロほど。
れっきとした県道です。青森県道284号薬研佐井線。未舗装といえど、過去には舗装してあったところもあって、補修されないままはがれていったようなとこも多い。それほどひどいガタガタのオフロードって感じではないけどたまに橋なんかで舗装してあると途端に静かな走行音になり震動も減り、ほっとする。道の両脇にせせり出している木々。関東にありがちな杉オンリー、ではなく、広葉樹がいろいろで気持ちいい。たまーに木々が遠くなると顔面が焼ける。川の脇なんて、もう奥入瀬に行く必要ないんじゃ??っていうせせらぎが見えてこれまた気持ちいい。
しかし結構長い。スピード出せないから長く感じる。
「あ!!dhonXX○☆彡6dkwl!!」と突然イモウトが叫ぶ。
すれ違う車もない山の中。恐山からなんかしょっぴいてきちゃったかと、何事??と訝しんでいると「猿!!猿がいる!!」とようやくイモウトが自分が何を認識したかをわかって言う。座席起こしてる間にいなくなっちゃったけど、またすぐに見えた。
ちょっと走ると今度はもう少し大きな群れに遭遇。猿たちもこちらをじーっと見つめてチェックいれてくる。見つめ合う。これはきっとタイワンザルなんかじゃない、下北の北限のニホンザルだ、と思う。子猿が母猿のおしりにしがみついている。ちっちゃくてかわいい。
猿にかまけていると日が暮れるので渋々去った。ようやく未舗装道路、終了。人工物らしきもの、何もなかったな。佐井村に出た。
海岸線を北に向かう。静かな村。昆布を干しているばあちゃんたちが見える。間もなく前方に見えるのは巨大なクレーン群となにやらでっかい鉄塔や建物。しばらく走ると海岸から引き離されそれはそれは滑らかで綺麗なアスファルトの広い道になる。ナビの地図を見ると内陸に随分回されている。
Jパワー、大間原発の敷地、でっかい。入り口には警備員が数人立っている。確かこの中に用地買収を拒み続けたただ1軒のうちがあるはずだけど、原発敷地に囲われていて誰にも止められずに自由に行き来することはできなくなっている模様。
プルトニウムを燃やしたくてしょうがないニッポン。建設は一時止まっているけど、大間はフルMOXの原発にするというからこのまま中断するような流れにはしたくないんだろうと思う。(後日、建設再開、と相成ったね)
下北の中でも一番のこの北の土地にいったいどれだけのお金が流れ、魂を売らされたりしたんだろうね。
そんなことを思いつつ大間に到着。大間崎は街よりさらに遠い。
公共の駐車場に車を停める。トイレもある。ただしこのトイレは便座がものすごい低い、和式便座がちょっと浮いてるようなもの。。本州最北端のトイレはそれかい。
さて車を降りてちょっと散歩。風が強く、日向は暑いが日陰は体感温度がぐっとさがる。屋台というかパーラーがいくつか出ていて海産物を売っている。土産物屋と食事処もいくつかある。ザ・観光地。海辺に出るとあったあった、大間のマグロの碑。
漁師の一本釣りだぜ。
海は荒波が凄まじい。どっぱーん、どっぱーんとショアブレイクがご立派。こんな海で昆布採りをし、ウニを採り、マグロを釣ってるんだ。
よし、何か食べよう。パーラーで殻に入ったままのウニと焼きイカ、焼きつぶ貝を買う。マグロはいらないかと言ってたけど最後に気が変わり、500円の切り身パックを買う。石垣なら500円で4人食べても余るくらいの量の冊が買えるけど、ここは大間ブランド、500円で赤身3切れと脂の乗った部分3切れとなる。夏なので脂ののりはそれほどでもないと言われた通り、さっぱりとした味。石垣のマグロより身は引き締まってるか。
大粒のウニがめちゃめちゃおいしかった。
ランチ終了。4時をまわり、さて青森市へ。
今度は県道284号線ではなく海沿いの道を行く。風間浦、大畑。尻屋崎の方は到底遠くて回り切れないのでむつ市へと抜ける。そして横浜町を・・・と行かずあえてここは太平洋側へ。7号線で東通村へと折れてみた。山越えだ。日が傾き始める中、この山越えは距離は大したことないのになかなかスリリングだった。高度を上げるとガスに覆われて視界が悪い悪い。カーブもそこそこきついし。東通村は静かな漁村。だけどここも原発地帯。有刺鉄線で囲われた敷地が延々続く。更に進むと六ヶ所村。どうせだったら原燃PRに行きたかったけど、残念ながらオープン時間を過ぎていた。核燃料再処理工場のマネーで生きている六ケ所村。でっかい郷土資料館やでっかい運動場が目に付く。それにしても広大な土地が核の一時ゴミ捨て場になってるもんだ。そして六ケ所のこの場所は沼地なのね。低い土地、水をたたえた湿地。村民の平均所得が1000万を軽く超えるというから、この産業がもたらしたものはそりゃ大きいだろうね。
空に赤々と映える原燃の明り。なんて神々しい未来への明かり。
さて、ナビにはなかったものの下北縦貫道なる標識が出て青森へとなっている。なんだか速そうな響きだ。乗ってみよう。
この道路、山を直線でぶった切って走っている。確かに速い。残り数十キロがこれで一気に楽になった。ただ・・・大間でトイレ行って以来トイレがない。まあ大丈夫そうだったけど、目安がないと気になるもの。あればいいよねえと言っていたら縦貫道の終わりにあった。が、速すぎて通り過ぎた。料金所(将来有料化されるのかな、今は無料)を通り過ぎた先に、トイレがあった。休憩。夜のだーれもいないトイレ。治安がいいって素敵。
20時半すぎ、青森の東横インに到着。長いドライブお疲れさん。
ちょっくらホテル前を散策。お夕飯何か食べようと。21時を回った繁華街・・・・・・・閉まってる店が多い。屋台村みたいなところでラーメン1杯とハンバーグ1個を夜空の下でシェアした。
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