青森姉捨て山紀行7
そろそろ記憶も薄れて来ている頃だけど、青森姉捨て山紀行の続きをいってみよう。
4日目の朝。6時台に起きて今日のロングドライブに向けて準備!まずは食堂へ降りてホテル朝食をいただく。パンとかコーヒーが並んでるかと思ったら、おにぎりとお味噌汁にポテトサラダやキンピラ(だったかな)といった和食メニューだった。全部工業食品かと思いきやおばちゃんたちがご飯炊いていた。
ドライブの行き先は、八甲田、奥入瀬、十和田湖、弘前。いかにも青森旅行で行きそうなところ。
1日寝かせておいたデミオを起こして出発。今日も太陽はやる気満々。八甲田の上はきっと寒いだろうとフリースまで持ってきたというのにこれじゃ出番ないまま終わりそう。事実、先に送った暖かい服は全部着ないで終わって石垣から着て行ったり急遽入れたりした夏服ばかり役に立っていた。
八甲田までは40分ほどの道のり。市街地を出て山地に入りゆるい勾配を上がっていく。木漏れ日がきれい。ブリザードのイメージしかなかったけど、さすがに夏の終わりかけ、雪のユの字もないや。
八甲田ロープウェーの麓の駅に到着。ロープウェイねえ、高所恐怖症としてはあまり足を踏み入れたくない場所なんだけど、こういうときって勢いで行っちゃうもんなんだよね。6月にいった新潟の弥彦山の膝ガクガクブルブルを思い起こしちゃならん。乗車券を買う。立派なトイレもあるのでビビって漏らさないようにいっとく。
ゴンドラに乗って山の上へ。お、弥彦山のよりレトロ感ないし、大型だし、これは怖くない。今思うとやっぱり弥彦山のはスタッフ教育といい設備といい昭和のままだったんだな。
眼下に広がる原生林や遠く陸奥湾などを眺めながら頂上駅に到着。建物上に展望台があって、風が強くない日はあがれるっぽい。はい、オンブでゴー。映画『八甲田山』のロケ写真を見つつ階段を上がってみた。はい、いい景色だね、はい、すぐ降りよう。
駅周辺は散策路になっていてちょこっとだったら進めたので、まあ、ほんのちょこっとだけどハイキング気分で散歩。駅にレストランもあったけど水を一回一回ロープウェイで運ぶようなところでわざわざレストランなんてなくてもいいのに、と思ったり。お客さん、誰もいなかった。冬の山スキーシーズンに入ったら賑わうのかな。
30分いて次の便で下山。
道なりに進んで着いたのは酸ヶ湯温泉。ここは温泉旅館一個が相当有名になっちゃったとこなのね。硫黄の匂いが漂うとこだ。お昼時になっていたので、萱野茶屋の売店でおでんとごへい餅を買ってベンチで食べる。ごへい餅って岐阜あたりで食べるつぶしたお米にお味噌を塗ったやつ?と思ったら、全然違っていて、甘いお団子だった。おでんは生姜味噌つき。こんにゃくに姫筍につみれに卵。これ、おいしい。ランチ終了。
道なりに更に進む。
地獄沼。この辺で山菜採りに入った人が硫化水素にやられて亡くなってるよね・・と言いつつ車を停める。黄色く濁る沼から水蒸気が立ち上り、ぶくぶくと泡が湧いてきていかにも不気味な雰囲気だ。
お次は、睡蓮沼。路肩に車を停める。イモウトが偵察しに行く。路肩から数段階段を上らないといけないので、面倒だからおんぶでゴー。八甲田の山が沼に写り込んでいてかわいらしい。ここで今回持ってきていたイモウトの古めなデジカメはブルブル震えて終了。バッテリーがいかれちゃった。
静かで牧歌的な風景。ベンチがないので長居はできずオンブ隊はそのまま引き返した。
お次は蔦沼。ここも古い温泉旅館、蔦温泉がひとつどーんとある。いかにも古そうな旅館だ。蔦沼へは散策路が整備されててビジターセンターから行くことができる。そんなに時間はかからないようなので行って見ることにした。
しょっぱな順調に進む。柔らかな小道。日向はほんっとに暑いけど森の中は涼しい。気分よく進んでいくとあっという間にお気楽な道は終わった。上りのきついのは、まあ、ビジターセンターの看板にも書いてあった。そうじゃなくて、するするっと進める路面が消えて凸凹道出現。さらにちょっとした泥沼チックな部分を覆う板の歩道が壊れていて穴が開いている。引き返そうかとも思ったけど力尽くで突き進む。さらにさらに沼が見えてきたところで、なんというか、木道は木道なんだけれども、滑り止めなのか単なる継ぎ目なのか、15cm?間隔で数センチの高さのぼっこが延々と続いている。これが綺麗に引っかかる。ムチ打ちになりそうだし、進むに進めなくてイライラする。
沼到着。頑張ってくればその分着いたところの風景に心動かされるはずなんだけど、そこはただの沼だった。しかも沼のほとりはオープンエアで暑い。くそ暑い。
とぼとぼときた道をまた力尽くで帰った。イモウト、体力使い果たす。と、最後もうすぐっていうときに、「○☆彡×▲ああ×◇!!」と言い出した。そのときバックで進んでいた私からは何も見えない。「動物!!」と言う。
いたいた。けど何だろう?白くて毛が長くて足が短い生き物が泥を掘っている。こっちを見た。「アナグマ!?」「ハクビシン?」「いや、アナグマだよ」
ビジターセンターは無人。ホワイトボードに目撃した動物を描くところがあったので、イモウトがちゃちゃっと絵を描いて「アナグマ?」と記しておいた。
給水休憩。さて、次は奥入瀬だ。
なんだかホテルが増えてきた。そして奥入瀬のドライブインが出てきた。渓流沿いのドライブスタート。
石ヶ戸でなんだか車がいっぱいとまっている。私たちもそれにならって車を停めておりてみる。しばらく歩いて行くと休憩所があった。駐車場もあった。つまりここから川沿いに降りられるのねってことで行ってみる。階段なのでとりあえず待機。せせらぎがいいね。蔦沼でくたびれたっていうのに、ここでまたイモウトが行くよ!!という。おんぶでゴー。
名所見てきた。
奥入瀬ってこういう大きな岩がいっぱいあるのね。山肌にも川沿いにも。
まともなカメラもなかったし、くたびれてたので、いかにもっていう奥入瀬フォトはないけど、確かにここはみんなが行きたがるだけの「気」と「美」があった。石ヶ戸以外は車を降りなかったけど、渋滞もなく、あまり車も来なかったのでゆっくりゆっくり走って渓流ドライブを楽しんだ。滝も、阿修羅の流れも、しかと見てきた。
奥入瀬を走り切った。十和田湖だ!
この先、弘前に行くには二択となる。きた道を戻るか、さらに湖を回るか。要は外輪山を越えないといけないってことだ。やっぱり乙女の像を見なくちゃ!ってことで湖に沿って走ることにした。ホテル郡を抜けてそれらしき駐車場エリアへ。おみやげ屋も並んでいる。
あ、秋田県に入った。
乙女の像はどこだー?と探すと標識があったので歩いて行く。昔イモウトは遊覧船から見たことがあるらしく、乙女じゃないんだから、と言う。行けども行けどもたどり着かない。すれ違う人にあとどれくらいですかと聞くと5分くらいかな、と。じゃあ頑張ろうと進む。湖はとても静か。暑い。よーーうやく銅像に着く。
乙女が2体。すごいデブ。そしてすごく目を引くものがない。周囲にいたおじさんが「これはだめでしょ」的なことを言う。せっかくだからと若そうな子をつかまえてiPhoneでツーショットを撮ってもらうが、乙女の頭切れてた。
引き返そう。
おみやげ屋ではあんまり観光客もいないのにファーストフードと称してフランクフルトやきりたんぽを売っている。暑い中に長らく置かれているであろう、油ギッシュな食べ物。無理むりむり。湖畔の宿はほとんどがつぶれていて廃墟になっている。
休憩所に入った。2階にきれいなトイレがあった。韓国人の団体旅行客が遊覧船に乗り込む。まとまって見えた人はそれくらい。さびれてるねえ。。
お土産にいぶりがっこを買う。
十和田湖から弘前へのドライブは、これまたスリリングだった。深い森、山道。熊に注意。ほとんど走ってる車がない。夕方でまだ日があるから良かったけど、夜道には通りたくない。
虹の湖の道の駅。まったくもって生命の気配がない。ダムは大分水がなかったっけ。とりあえず道の駅はスルーしてひたすら進む。沿道に時折現れる集落も生命反応がない。たまに温泉の名前がついているけど、宿がある気配もない。家は不思議とポップな色。軽い雰囲気のデザイン。山道も大方終わり、平野に出た。
田舎館の道の駅。ここは生の気配があったので入ってみた。津軽に来たからにはリンゴジュースを仕入れようと買ってみた。田んぼアートもやっていたけど、もうすぐ日が暮れるということで展望台はすでに終了。岩木山が大きい。
弘前に着く頃には夕暮れに。ナビで弘前城の駐車場を設定したのに連れていってくれず、城を一周しちゃった。市立観光館の地下駐車場には入れたのでそこに車をおいてすっかり暗くなった街に繰りでた。弘前城の敷地からは通勤通学の人たちが出入りしているので行けそうだということで、お城入り口へ行く。門をくぐると外の道路の賑やかさは一瞬で消えて、街灯に照らされた部分以外、結構暗い。「大丈夫かなー、襲われないかなー」と何か出る気配が濃厚なので、イモウトにそう言うと笑い飛ばされる。「怖がりすぎだ」と言われながら天守閣のある方へ進む。イモウトは修学旅行のときにここに来たことがあってそのときも夜だったらしく、怖いイメージがないらしい。時折すれ違う通行人に気を留めつつ、お城の間近に到着。きれいにライトアップされていて、これは夜に来た甲斐があったね、と眺める。お城って大きな建物のイメージがあるけど、実際目の前で見ると小さいって思うことが多い。弘前城もこぢんまりとしている。写真をちゃちゃっと撮って、さあ出よう!
と出る前に弘前でどこかレストランに入れればいいねと街灯の下まで行って、ガイドブックを広げる。旅行前に調べておいたお店はどうかと電話をしてみたらもう入れないと言われる。7時前でもダメか。別のところはどうかと見ると定休日、次も定休日、あれ、ここも・・そしてリスト終了。街灯からちょっと離れたところに、そのとき私は人影を見た。最初はあれ?人か??でも思いっきり木の林立するとこで普通あんなとこにわざわざ行かないよな、気のせいか?と思ったけど、イモウトに「あそこ、誰かいない?」と言う。「いないよ」「そっか」・・・・ん!移動してる!木の下から出てきたじゃん。こっちガン見してる。あらー、いつの間にか下半身すっぽんぽん。街灯に上手に照らされていてオレンジ色の足が2本、開き気味になって突っ立っている。「ずらかろう」とひとまずガイドブックを閉じて去った。イモウト、「そんなちっち○いの見せんじゃない!」と恫喝。Mr弘前は余計喜んでたような・・・。ちょっとだけどういう気分かインタビューしてみたかった。
門の近くにトイレらしきものがあったけど、あんなもん見た後だったので、入る気にならずスルー。レストランは1ヶ所老舗があって高級そうだけどダメ元で行ってみるかと地図を頼りに歩き出した。
知らない街の夜道。るんるん♪って上がる気持ちももはやなく、おまけに1日がすでに十分長いため、どこともしれぬレストランに行く距離が遠い。地図が読める女であるイモウトが「あれ?ここかな、待って、確かめる」と言うと余計たどり着けるか心もとなくなる。ようやく狭い道に来て、レストラン発見。
うん、明かりついてないね☆彡やってないね☆彡
帰ろう。そして弘前の街中に入る前に見たロードサイド店のファミレスかなんかに入ろう。洋館で有名な弘前の街とあってライトアップされた教会や銀行、図書館なんかは見ることができた。途中、交番のすぐ近くに公衆トイレがあって、市立観光館の駐車場は和式の古いトイレしかなかったから、ここならいいか?と入ろうとしたらロックされていた。
「とことん弘前とは合わない!!相性悪い!!!」と二人でぶーたれた。
車に乗って市立観光館を出、あおもり犬が目に飛び込んできて流れ去り、日本全国金太郎飴みたいな風景のファミレス、カーディーラーが立ち並ぶエリアに来た。弘前でまさかの、初!丸亀製麺デビュー。お昼といえばこんにゃくメインのおでんを2人で分けたくらいで、それ以降いぶりがっこ食べたくらいで、文字通り空腹。手っ取り早く行くならセルフのうどんだ。イモウト、まさかの2杯オーダー。私、明太釜玉うどんをオーダー。キス天とナス天もつけちゃうよ。がっつりいくよ。・・・麺はおいしいけど、天ぷらはちょっと後悔。キス天はまだしもナス天が・・・。衣がおいしくなーい。空腹は最良のソースなはずなのに、そうでもないようで。素うどんがベストだったな。
ちなみにうどん屋さん、大盛況だった。8時半過ぎでも子連れファミリーが来る、若者軍団が来る。つまり他に行くとこないんだろな。
お腹が満たされ、青森まで変えるエネルギーができた。高速を使い、1時間ほどで帰れた。ホテルに着いて前エネルギーを使い果たしたイモウトはここでプツッと糸が切れた。ベッドで固化してて寝るまでのあと一歩、着替えや歯磨きができず、私は虚しく天井を眺めていた。(早く寝たいなー、でも言えないなー、わじわじってね)
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