ハルキチくん
2021年4月18日午後3時を回った頃、ハルキチが旅立った。
2/15、レントゲンを撮ったところ、気管虚脱が認められた。去年から喉を絞り上げるような咳を単発で時々していたのだけど、この頃からゲコゲコしょっちゅうやるようになり、夜もそれで眠れない時があった。心臓は、獣医さんの見立てでは雑音もないし肥大もしていないと。年明けの血液検査では特に問題もなく、多少BUNが高いくらいだった。
最初は抗生剤や去痰剤、ステロイド剤などをもらって、いったん咳は落ち着いたけど、気管が潰れている事実には変わりなく、徐々に太い咳が続くようになってしまった。
1週間前に、再度ハルキチを病院に連れて行った。心臓に雑音はないと。鎮静剤が処方され、夜に使うようにと言われたけど、それを飲ませていても夜中咳き込んでいて、ずいぶん痩せてしまった。
17日朝5時過ぎ、散歩に出た先でへなへなと崩れてしまい、抱えられて帰ってきた。その後は起きようとしても倒れてひっくり返ってしまい、うぉぉんと低目な声で叫び、空気を求めてもがいているような感じになった。この異変を察知して、銀もタコ助もささっと駆け寄り、ぴたっとふたり並んでしばらくじぃっとハルキチを見守っていた。
ニンゲンはこの日数時間家を留守にしなければならず、その間にいってしまうんじゃないかとハラハラしたけど、帰ったとき、ハルキチは正座していてウンピを踏んでいた。
夜7時過ぎ、会社帰りのCがハルキチに会いに来た。ハルキチは初めてCに会ったとき、思わずマウンティングし(ハルキチがこれやったの、後にも先にもこのときだけ)、その後も幾度となくCにすり寄っていたくらい、Cのことが好きだ。8時頃、水下痢をする。Cが帰るよ、じゃあねと言うと、横になっていたハルキチがしっかり頭を持ち上げて目を合わせるように挨拶をした。
チュールをちょっぴり舐めた。
夜12時、ほんの少しだけ水下痢があったので、おむつを履かせた。夜中、咳と荒い息と、小康状態を繰り返し、たまにうめいているのが聞こえた。静になるたびにドキドキした。
ハルキチは夜を越した。ワン!と鳴いた。
朝、ハルキチはなんとここに来てすっくと立ち上がり、水をごくごくと長い時間をかけてたっぷり飲んだ。飲み終わると、5、6周右回りし、また横になった。
しばらくしてまた立ち上がり、ハッハッハと短い呼吸をしながらも正座してこちらを見ていた。かっこいいぞ、ハル。
母はチュールを買いに出てささみ味を持ち帰り、舐めさせてみたけど、受け付ける感じはなかった。
午後2時40分頃、ハルの息がまた荒くなり、おぉぉんと呻く。母を呼び見守る。うつぶせで浅い呼吸になる。
母が庭にいた3時20分頃、Cがやってくる。「ハル、あれ?お腹が動いてない。触っても動かない。息もしてない」
あ・・・じゃあ、いっちゃったんだ。
ああ、これで苦しい時は終わったんだ、とホッとした。Cがハルキチを撫でる。
夕方日が暮れる前に、ハルはお庭に眠った。
2010年7月、あの暑いよく晴れた日、うちに住む!という強い意志を持ってやってきたワンコ。野性味に溢れ、猫にモテて、ピンと立った耳が触ると柔らかくて、二重に巻かれたしっぽが嬉しいとピコピコ横に振られるのがかわいくて、やっと覚えたお手がぶきっちょで、ダレてるウシオの横でいつもキリッとしていてかっこよかった。
未来にどれくらい一緒に暮らすかなんて全然分からなかったけど、結果10年余りを共に過ごしたことになるね。まさか島を出て飛行機に乗って房総半島に眠ることになるなんて、思いもしなかっただろうね。
きっと今頃また自由の身になって、島に飛んで帰って駆けずり回ってるのかも。
ハルがいなくなって24時間。
いるはずの場所にいない喪失感の大きさに、淋しくてたまらない。
ウシオによろしくね。
またね。
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